変形性膝関節症

 70代の女性です。いすに座った姿勢から立ち上がるときや、歩き出すとき、足を出そうと思ってもすぐに出せません。ガクッとする違和感を感じる、痛みが走ることがある。股の付け根から膝(ひざ)にかけてつっぱりを感じることもある―と訴えています。山登りが好きで、月に1、2回は長時間山歩きをしており、何とか軽快に山歩きを続けたいと悩んでいました。

 中高年の膝の痛みの原因として、もっとも多いのが変形性膝関節症です。これは、関節の軟骨がすり減ったために痛みが起こるものです。西洋医学では消炎、鎮痛剤などを使いますが、中国医学では、膝の炎症の熱を下げ、腫れをとる生薬で痛みを和らげます。関節の変形が進行しないように、腎の働きを補う生薬で根本から治療します。また、関節がこすれて炎症を起こし、水がたまり膝がパンパンに腫れて痛い、ということもありますが、この場合は、利尿、利湿作用のある生薬で水を出して、炎症や腫れを和らげます。

 関節痛、下肢のしびれなどを改善してくれる生薬に独活(どっかつ)があります。山菜として食卓にのぼるウドのことですが、中国では薬用として根茎部を用いています。 この独活を主薬とした漢方薬を、この方には服用していただきました。1、2ヶ月服用を続けたら、いつの間にか、立ったときすぐに足が前に出るようになり、痛みも改善しました。 夜中トイレに起きたときにもつかまらなくても立てるようになり、喜んでいらっしゃいます。

 老化現象を甘くみて我慢しないで、関節の変形が進行しないうちに、根本からの治療が大切ですね。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2004.03.07