体外受精を希望されて

 20代のAさんは、無月経の体質です。下垂体ホルモン分泌不足で月経が起こりません。 結婚し、子供が欲しいと思い始め、不妊治療を開始。排卵誘発剤、黄体ホルモン剤を使って、卵巣の反応、子宮内膜の経過を見ましたが、内膜が妊娠に必要な厚さにならず、この状態では自然妊娠は難しいが、体外受精という選択があるとの病院の説明があり、ご相談にみえました。

 中医学では、誘発剤によって一度に複数の卵子を作らせることはかなりの消耗になると考えています。 良質な卵子を作る為に、疲労している卵巣にエネルギーを補い、体調を整え、漢方薬で少しでも妊娠しやすい体にしましょう、とお話しました。この方の場合、子宮内膜を厚くすることが一番の目標です。体外受精に必要な情報をお話した上で、漢方薬を飲んで頂きました。

 3ヵ月経過後、専門病院での診察の際、子宮内膜は十分にあるとの結果に、ご本人はとても喜んで報告に見えました。いよいよ予定周期、体外受精はほとんどの場合、ホルモン剤(誘発剤を含め)を使います。リスクを伴うことがあるため、それによる負担を軽くする漢方薬がどうしても必要ですので、プラスして経過を見ました。ご本人の不安と期待は、想像する事が出来ない程だったでしょう。不安を隠しきれずに度々いらしたほどでした。そして判定は見事願いが叶いました。元気な赤ちゃんが誕生するまで漢方薬を飲み続けたいと、養生を続けていらっしゃいます。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2009.09.06