冷えは万病のもと

 冷え性は、体が冷えてつらい、という単純な問題ではありません。体の冷えは、内臓、組織、器官の働きが著しく低下していることを表しています。

 腎機能が低下すると腰の冷えが現れ、胃腸機能が低下するとお腹の冷えが現れます。熱エネルギーは血液によって全身に運ばれますので、血液不足では心臓から遠い末梢の手足に冷えが現れます。また、気のエネルギーには体を温める働きがあり、ストレスなどで気がスムーズに流れなくなると、気が停滞し、胸や顔、頭ばかりが熱くなり、手足が冷えてしまいます。これを冷えののぼせとよくいいますね。

 ほかに、せっかく生成した熱エネルギーが体外に漏れ出してしまい、ちょっと動くと汗をかき、気温が下がっても皮膚を引き締めることができないので、熱が逃げやすく冷えを感じます。

 このように冷え性にはいくつかのタイプがありますので、体質に合った漢方薬を選ぶことが改善につながります。
Aさんは、全身の冷えを訴えていました。特に腰が冷え、少し動くと汗がにじみ、その後冷たく感じると言います。肌は血色が悪く、か細い方でした。

 このような状態を改善する漢方薬を服用していただいたところ、徐々に体が温まり、血色が良くなっています。以前は入浴後すぐにも凍るように冷たく感じたことが、 今は、すぐに冷えることはなくなったそうです。この漢方薬は飲むカイロと言われているように、乏しかった熱エネルギーを補い、気のめぐりが良くなってきたのですね。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2008.01.01