花粉を跳ねのける体質

 今年のスギ花粉の飛散量は、昨年の10倍くらいと予測されています。以前から重症の花粉症の人にとっては、つらい年になりそうですが、今まで発症したことのない人でも、これから発症したり、重症化する恐れもあります。

 花粉が鼻や目の粘膜にくっつくと、体は花粉を異物(アレルゲン)とみなし、体内で抗体をつくり、対抗しようとします。人間の体は本来、常に周囲の環境に適応するための防御システムを持っています。”免疫”といわれるこの防御システムが、過剰反応を引き起こした状態がアレルギー疾患であり、花粉症やアトピー性皮膚炎として現れます。環境に体を適応させようとする機能を、中医学では”衛気”(えき)といいます。衛気は体表部をくまなく巡り、皮膚や粘膜の防衛力を高め、体を目に見えないバリアですっぽり覆った状態を作るのです。この衛気が弱くなると、バリア力が低下し、花粉やウイルスなどの外敵が侵入しやすくなります。

 6歳の男の子は、慢性鼻炎や時にはぜん息を併発し、春になると花粉症で体調がすぐれず、お母様は年中、気が休まることなく心配されていました。一昨年も花粉症が猛威をふるい、その時期にご相談にみえられました。 そのときから、体質を強化する漢方薬と症状に応じた対症療法の漢方薬を服用していただきましたところ、1ヶ月後には、くしゃみ、鼻水が改善され、とても楽になったと喜んでおられました。

 その後は、花粉の時期に備えて、早めに予防薬としてこの漢方薬を服用しています。西洋薬にみられる眠気や口の渇きなどの副作用の心配がありませんし、また、子供にも飲みやすい甘味のある漢方薬なので、このお子様も積極的に飲まれるようです。今から皮膚、粘膜にバリアパワーを強化して、花粉を跳ねのける体質を作りたいものです。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2005.01.07