喉のヒリヒリ感と漢方

喉が赤くなり、ヒリヒリ感が何年も続いています。喉の炎症と診断され抗生剤を2ヵ月飲み続けましたが、一向に良くなりません。とても気にしやすい性格で、隣人とのトラブルにストレスを感じており毎日が憂鬱で仕方ないとも訴えておりました。

この方の訴えは喉に集中しています。炎症の診断で、すでに治療されましたが、その効果が見えないのであれば、ストレスからくる症状であることが考えられます。

カウンセリングで憂鬱感を少しずつ話していただきました。たとえ愚痴でもストレスの背景が見えてきます。話すことで発散することもあれば、解決できない深い長いトンネルに入ってしまっている場合もあります。

ストレスを感じ続けると交感神経が緊張し顆粒球が増加します。そこから放出する活性酸素で組織障害が起こると、潰瘍、白内障、糖尿病、甲状腺機能障害、はたまた癌に進行することもあります。また、顆粒球の増加により、化膿性疾患が発症したり、組織の老化が進み、シミ、しわや動脈硬化の心配も出てきます。

また、交感神経の緊張によりアドレナリンの作用が加わると、血管が収縮し虚血状態が起こったり分泌能の低下で老廃物を溜め込み、でき物ができやすくなる、イライラ、怒りっぽい、興奮状態が不眠に繋がる、のどに狭窄感を感じる、などの症状が出てきます。

中医学は、「心身一如」(心と体は一つ)という考え方を基本としていて、ストレスの対処も精神面だけでなく、身体を整えながら心身全体をバランス良く保つことを大切にします。

身体の中でストレスと深く関わっているのは、五臓の「肝」。肝は体内の気(エネルギー)の流れをスムーズに保ち、ストレスをコントロールする働きがあります。このように強いストレスを受けると、体の気の巡りが悪くなり、様々な症状に悩まされている様になります。この方には肝を伸びやかに気を巡らす漢方薬を飲んでいただきました。

日が経つにつれ、喉のヒリヒリ感はやわらぎ、塞いでいた気持ちが前向きに捉えられるようになってきました。何事にも一生懸命取り組んでしまうために、肩や背中のこわばりも時々感じていましたが、血液の巡りをよくして凝りを和らげる漢方薬「冠元顆粒」も加えたところ、こわばりもとれ、気にならず動ける様になったと喜んでいらっしゃいます。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2016.06.30