花粉症対策とバリア機能

 40代の若々しいお母様、長年花粉症に悩まされていました。2人のお子様も同じく春先に、鼻炎、目のかゆみを訴えるようになりました。昨年も2月ころから家族中で、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、そして風が強いときには目まで赤くなって、かゆがっていました。 ほかに常用している薬があるので、漢方による改善法はないものか、とのご相談でした。

 花粉症状は、花粉の飛散量以外に、個人の体調や体質によっても表れ方が違ってきます。睡眠不足や食べ過ぎ、飲みすぎで、衛気の原料である 栄養が不足したり、暑いときに水分の取り過ぎで体を冷やし、代謝がうまくいっていないなど、「衛気」を消耗させる原因が幾つか考えられます。衛気が不足すると、呼吸器がダメージを受け、鼻や目の粘膜に十分な防護壁をつくれず、花粉症の悪化につながります。

 このご家族も、食生活は肉類が多く野菜が少なく、味の濃いものでした。そこで体質改善として、まず薄味にしてバランスの良い食事にしました。 そして粘膜を強化し活性化させ、外的刺激から体を衛り体表にバリアをめぐらせる作用のものと、花粉症の症状を和らげる作用の2種類の漢方薬を飲んでいただきました。

 一カ月後、お母様とお嬢様はすっかり改善し、ティッシュがいらなくなったと喜んでいます。このご家族は、その後もずっと体質強化に漢方薬を服用しています。 息子さんは、秋のブタクサアレルギーも改善されました。先日も、目の回りを赤くしたお嬢さんが、今年は花粉症状を防ぎたいと相談に見えました。栄養と漢方の根本療法で「衛気」を充実させ、体にバリアができると、一カ月後には、きっと楽になっていると思います。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2003.02.07