怖い糖尿病の合併症

 糖尿病になると怖いのは、合併症を引き起こすからです。3年以上たってから出てくるといわれる合併症ですが、特定部位である神経、目、腎臓など、非常に細かい血管が密集した臓器を、少しずつむしばんでいきます。例えば、腎臓には、糸のように細かい血管が集まっており、血糖値が高いと、この細い血管が切れたり詰まったりして、腎臓機能が障害されます。「糖尿病細小血管障害」と言われています。

 運動不足、ストレス、過食などは糖尿病発症の原因となり、特に2型糖尿病は、肥満や運動不足などの生活習慣病がきっかけで起こり、飽食の現代では、予備軍も入れると、国民の4人に1人がこの病気に関係している、という大変な問題になっています。メタボリックシンドロームの診断がさかんに行われているのも、糖尿病は相当進行するまで症状がないため、気がついたときには、すでに合併症が起こっているケースが少なくないからとも言えます。

 富山大学和漢医学総合研究所の横澤隆子助教授が「糖尿病合併症の発症、進展の抑制メカニズムと“冠元顆粒”の作用」と題して、薬理実験論文を発表されました。主成分の“丹参”(たんじん)は、中国医学でいう「瘀血」(=おけつ、末梢組織での血液の流れが滞った状態)を取り去る作用がある、すぐれた生薬です。

 十数年前から糖尿病を発症して以来、丹参を主成分とする漢方薬を飲み続けているAさんは、血糖値、ヘモグロビンA1cのコントロールが良く、合併症の症状も出ずに、健康で快適な日々を過ごしていらっしゃいます。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2007.02.07