60代奥様の病の相談に、ご主人が駆け込んでいらっしゃいました。5ヶ月もの間、原因不明の腹痛に悩まされた結果、大腸ガンが見つかり、すでに、肝臓から腹膜まで転移していたというのです。大腸腫瘍の摘出手術は成功しましたが、肝臓の切除まではできず、外来にて治療を行うことになったといいます。そのため、化学療法に耐える十分な体力、気力、免疫力を養い、副作用を少しでも軽減し、苦痛を感じないで治療を受けさせてあげたい、また、ガンの進行、再発、転移を防ぐためにも、漢方薬を併用したい、とのことです。
20日後から始まる抗ガン剤の点滴投与の効果を上げるため、ご本人の体質に合った漢方薬を服用していただきました。治療が始まる直前からは別の処方に切り替え、より免疫力の向上と精神的な安定を期待することにしました。
1クール、2クールと投与されると、治療後に食欲が減退し、ときどき腹痛や吐き気があったものの、症状は軽いということでした。また、毎回の血液検査で白血球の減少がほとんどなかったことについて、「漢方薬を併用し、免疫力を高める食品を多く取り入れた成果の表れだと感じる」とご主人はお話しされております。よい報告をお話しくださるその姿からは、奥様の苦痛を少しでも和らげることができれば、との思いと、まもなく生まれてくる初孫の顔を見せてあげたい、という願いが伝わってきます。
今、ガンが発見されてから8ヶ月余りになるそうですが、奥様ご本人は、その後の経過も良く、家事もできるようになり、前向きに生活していらっしゃるそうです。お見えになるたびに、家族愛を感じる今の私です。
日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり