皮膚のトラブルについて

 2006年より毎年、中国上海又は雲南省昆明の中医大学附属病院、皮膚科研修に参加し大勢の患者様の皮膚症状を実際に目で見て、症例検討の勉強をしています。また、イスクラ産業主催の中医皮膚病専門講座受講9年目において、難病とされる膠原病や腫瘍に至るまで、幅広い疾患の研鑽を積みながら、中医学の普及に努めています。

 中医学で考える皮膚のトラブルは、その方の体質や生活環境、誘発する原因を探りながら、症状に合わせて「個人」の治療法を考えて、ご指導させていただいております。

突然の皮膚炎

50代の女性です。昨年の夏の出来事です。突然顔が浮腫み、紅斑が目立っています。手の甲、指には亀裂が無数に広がり、すっかり痒き壊してしまっています。ご本人は原因を知りたいとアレルギー検査をしたところ、様々な反応が項目殆どにでていました。ショックを隠しきれず、でもよくなるならと、アレルギー反応が出た食品は徹底的に除去を試みました。突然の皮膚炎から3ヶ月、その状態は悪化するばかりでした。マスクで顔を隠しても、紅斑は広がるばかりで瞼、口の周りは腫れあがり、マスクがあたる顎にまで紅斑が出現し始めました。手指の亀裂も滲出液でジクジク、爪の付け根も腫れ上がっています。ご本人は食べ物を選び、努力してみましたが限界でした。

中医学では、痒みの対策とスキンケアで養生をしながら、先ずは漢方薬で皮膚の炎症をとり、破壊された肌を修復し、バリア機能を高め、肌質を改善させます。さらに内臓機能を調節し、体内環境を整備(体質改善)、再発を防ぐことを目標に励んでいきます。

この方はとにかく水分が好きで、炭酸飲料、甘味飲料をがぶがぶ飲んでいました。それが原因と推測しますが、軟便が続いていましたので、腸内環境が悪化したと思われます。
湿熱を帯びやすい食品、甘いもの、辛いもの、脂っこいものなどを常食、常飲することで、胃の中に慢性的な熱と湿があることから、湿熱環境を好む細菌(おおむね悪玉菌)の繁殖を促すことになってしまい、元々弱い皮膚にトラブルをおこしてしまったと思われます。

胃腸の環境を整えながら、炎症を鎮め感染症を予防する漢方薬を飲んでいただきました。
さらに大事なスキンケアとして、五行草湿布と紫雲膏で、夜はたっぷり塗って夜中に触らないよう保護し、日中はスキンケア商品を使いながら、仕事中も綿手袋でしっかり保護していただきました。

ご指導させていただく前と三ヶ月後の写真です。ご本人の了解をいただいて掲載しております。(ステロイド軟膏は使用していません)

漢方を飲み始めて一週間で体が楽になっているのが実感されていました。夜中に掻くことが減ると、炎症していた皮膚は改善しやすくなります。滲出液でジクジクしていた手の甲、紅斑、浮腫でつらかった顔も1ヶ月、2ヶ月過ぎる頃には相当改善されていました。
まだ完全ではないので、今もスキンケアを中心に体質改善を目標に漢方を飲み続けています。

湿疹~完治への道~※ご本人の感想

2018年の夏、湿疹との戦いが始まりました。
指のジュクジュクと猛烈な痒み。次第に甲までとびひのような症状になっていきました。
そのうち、唇のただれと口角炎で口が思うように開かなくなり、顔や首にも湿疹ができ始めました。湿疹はやがて赤みと腫れに変わりいつも体は熱っぽい状態になっていきました。

いったい何が原因なのだろう・・・体に何が起こっているの?

さかのぼって自分の行動や食べた物を思い返しながら、控えてみたり食べ物アレルギー検査をして食べられるものを口にしたりしましたが、症状は良くなったり悪くなったり。
いっそのこと食事は全くとらずに過ごした日々もありました。(これは、症状は悪化しませんが、体力が持ちません)もちろん生活習慣も見直しましたが、すぐに症状としての良い結果は出ません。

自分なりに湿疹と格闘して疲れ果てた夏が終わった頃、漢方薬を処方して頂きました。
飲み薬(一部は湿布薬としても使用)と軟膏です。
仕事中は手袋をし、顔はお化粧せずマスクで過ごさせていただきました。空いた時間は、漢方薬湿布をして、寝るときは軟膏を患部を覆うように塗布、そしてリント布でしっかりくるみました。そうすることで夜中掻かなくなりますので、朝起きると血だらけ状態は軽減されて、傷の治りも早くなりました。

漢方生活1週間後、今までの症状があれよあれよという間に改善していきました。
今までの数か月の苦しみは何だったのかというくらいのスピードで。

そして1か月後には、唇のただれ、口角炎、顔・首の腫れは、ほぼ改善し、食べ物アレルギーも不思議と出なくなっていました。2か月後の現在は、中断していたスポーツも始められるようになり、本当に嬉しい限りです。

2018年の夏に突然始まった湿疹は、次第にかぶれや腫れなども引き起こし、やがて炎症状態となりましが、時に治まったように見えても、それは単に見た目であり、実際は体の中で炎症はくすぶっていたのだろうと思います。症状の一進一退に一喜一憂していましたが、このくすぶりを治さない限り、湿疹は繰り返されるのだと思います。
漢方薬で炎症を抑えながら根本を立て直した事と、食生活を含めた規則正しい生活習慣が湿疹を取り去ってくれたのだと思います。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2012.09.20