ウイルス性イボの原因とメカニズム
ウイルス性イボは、皮膚表面の小さい傷からヒト乳頭腫ウイルスが侵入して、皮膚細胞に感染しておこる病気です。正常な健康の皮膚には感染しないウイルスですが、皮膚の免疫力が低下していると、小さな傷などがあるとそこから皮膚に入り込んで、基底細胞の細胞分裂が活発になり、周りの正常細胞を押しのけて増え続けます。
ウイルス感染が原因のため、接触感染により広がることが多く、患部を触った手で触れることにより、体の他の部位に飛び火したり、周囲の人に感染したりする可能性もあります。
多くの場合、一ヶ所だけではなく、数ヶ所に同時発生します。
足裏にできた場合、しばしばウオノメと間違えます。皮膚の深いところにヒトパピローマウイルスが入り込み治りにくい、とされています。
ウイルス性疣贅(いぼ)の種類
1)尋常性疣贅(じんじょうせいいぼ)
子供や大人の手足にみられる結節で、表面ががさがさしています。爪の周囲はささくれが生じやすく、ヒトパピローマウイルスが侵入しいぼができやすい部位です。ヒトパピローマウイルス2、27、57型の感染で生じます。
2)扁平疣贅(へんぺいいぼ)
顔、手の甲、下腿にみられる半米粒大で表面が平滑な丘疹で、正常皮膚色~淡褐色。円形~多形性の発疹です。青少年に多発します。特に女性に多くみられます。ヒトパピローマウイルス3、10、28型の感染で生じます。
3)尖圭コンジローマ(性器いぼ)
性行為や類似行為によって感染し、肛門周囲、外陰部、口腔内に生じる。ヒトパピローマウイルス6、11型の感染で生じます。
まれないぼとして色素性疣贅(黒いいぼ)や足の裏に生じる足底表皮様嚢腫、点状疣贅も同様にウイルス性いぼです。
そのほか、子どもにみられる水いぼがあります。原因は伝染性軟属腫ウイルスの感染によって生じます。水いぼは夏のプールに入る時期やアトピー性皮膚炎の患者さんにみられることがあります。
ウイルス性イボの西洋医学的治療方法
西洋医学での主な治療法は冷凍凝固療法です。
液体窒素(マイナス196度以下の低温の液体)をイボに当てて凍結させ、ウイルスに感染している組織を壊死させます。
1~2週間で自然に取れることもありますが、手のひらや足の裏の皮膚は厚いため、表皮の深い部分にウイルスが感染している場合、再発を繰り返す方もいます。
冷凍凝固療法は痛みを伴うことが多く、治療のたびに苦痛を感じ、辛い思いをされている方も少なくありません。
ウイルス性イボに対する中医学の考え方
中医学では、ヒトパピローマウイルスが体内に侵入「邪毒侵入」に対して、撃退させる体質強化「解毒去邪」の方法で、抗ウイルス作用の漢方を飲んでいただきます。
中医学には「皮膚は内臓の鏡」という言葉があります。内臓の働きが皮膚に大きな影響を与え、皮膚に様々な症状を引き起こします。
養生法としては、患部をかかないようにする、リラックスする、他人に移さないよう、公衆の場では自分専用の用具を使う、等を心がけてみてください。
症例
40代の女性です。皮膚科でウイルス性イボの治療を始めた、とのことで手の甲には窒素による治療の朝黒い痕が点々と現れていました。「漢方薬を併用して体質改善したい」との希望で4種類の抗ウイルス作用の漢方を飲み始めて2か月、治療をしていない眉のイボが消失した!と喜んでいました。
漢方薬を飲み始めて4か月頃から新しいイボが出現しなくなりました。皮膚科での窒素治療を中止してからも手の甲も突起が平らになり、色素痕が少しずつ薄くなって綺麗な肌色に変わっていく様子が漢方薬の効果を現しています。