漢方で質の良い睡眠

 入眠直後の睡眠は深い眠り(ノンレム睡眠)から始まり、約90分後に浅い眠り(レム睡眠)を何度か繰り返して朝の目覚めを迎えるとされていますが、ストレスをかかえていると、半覚醒状態(レム睡眠)の時に昼間の出来事や心配事が脳裏をよぎり、はっと目が覚めたり、覚めないまでも深い眠り(ノンレム睡眠)に入ることが出来なくなります。

 眠りの質という観点からは、ノンレム睡眠時にのみ成長ホルモンが分泌されますので、ぐっすり眠れない状態が続くと成長ホルモンが十分分泌されなくなります。成長ホルモンは脳の回復や修復を行い、疲れを取る重要な役割をするほか、心肺機能や腎機能、免疫力、骨密度や性機能などからお肌の状態に深く関与しているとされ、いくら十分な時間寝ていたとしても、ぐっすり眠った気がしない、朝の目覚めが悪い、疲れが取れないなどを感じるようであれば、成長ホルモンの分泌を妨げる何らかのストレスが邪魔をしていると考えられます。

 アロマの素材として自立神経の調整にも使われているジャコウ(麝香)は全身の気の巡りをスムーズにほぐしてくれる生薬として効き目を実感できます。ストレスによるレム睡眠時の興奮を鎮めてノンレム睡眠に移行するように促す作用がジャコウにはあると考えられます。寝つきが悪い方にも、舌の上に一粒舐めている内に緊張がほぐれ、いつの間にか楽に眠れます。上手にストレスを発散させて良い睡眠を取り、すっきりと目覚めたいものですね。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2014.01.11