ストレス、過労、気不足

 40代のAさん、(女性)です。朝起きられない、気力が湧かず予定をキャンセルしてしまうほど外に出るのもおっくう。月経不順があり、生理前頭痛も気になるなどの不定愁訴を感じていらっしゃいます。少し詳しくお聞きすると、お身内の心配や、常に気を張り詰めている様子が伺えました。

 40代は働き盛りといっても、多くの女性は子どもの教育や、親の心労や健康、そして自分自身も更年期に向かい、ホルモンのアンバランスによる月経不順など、さまざまなことが重なる時期でもあります。また、仕事を持っていたり、介護などは1日中気を張りつめて心のゆとりはありません。家に帰るとくたくたで、やる気が起こらないのも理解できます。

 中医学では、このような症状を“腎虚”腎精不足と考えます。腎とは、西洋医学の腎臓を含めた内分泌系、生殖ホルモン系など、発育と生殖を司り、腎が蓄えている生命エネルギーを指します。日々の激務からくるストレスや過労、睡眠不足がホルモンの分泌に影響すると、過剰に働いてしまい、月経が早く来たり、逆にエネルギー不足によって、エストロゲンの分泌が増えず月経が遅れることがあります。また、気を張りつめているとエネルギーを消耗し、緊張感がほぐれなければ、寝付きも悪くなり熟睡もできません。すると、疲れが残り、気力も湧かなくなります。

 Aさんには腎のエネルギーを補い、張り詰めている気をほぐす漢方薬を飲んでいただきました。半月後リラックスできるようになり、よく眠れると実感され、2ヵ月後には活動的になり、すっかり元気になったと喜んでいらっしゃいました。体が重くなると気持ちまで落ち込んでしまいます。漢方薬は早く軽くなる効果が期待できます。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2010.12.01