更年期の不定愁訴

 手足が冷えてつらい、正常だと思っていた血圧が上がっていた、ふっと緊張したときに汗が吹き出るようになった・・・など、この夏、多くの更年期の女性からご相談をいただきました。

 人は加齢とともに、腎の力が次第に弱まっていきます。更年期を迎えるころから、女性は卵巣が次第に小さくなり、その働きも衰えます。女性ホルモンの分泌量の低下により、自律神経のバランスが崩れがちになり、血管の収縮、拡張の調節がうまくいかなくなり、ちょっとしたストレスや生活環境の変化で血圧が上昇傾向になったり、クーラーに当たると途端に抹消の血流が悪くなり冷えを感じたり、むくみ、頭痛、肩こり、ほてり、のぼせなどの不定愁訴が現われやすくなります。

 中医学ではこれを腎精不足といい、精と血のバランスが崩れることを表します。腎の働きを補う補腎薬を服用することにより、ホルモンの減少を止め、分泌を促進し、若々しさを保つことが出来ます。特に鹿茸(ろくじょう)の動物生薬が配合された中医薬は、腎の衰えを補い、自律神経を安定させます。そして、血行不良による筋肉のひきつけや、 四肢のしびれなど、夏に冷やした機能を即効で改善します。また、精のつく食物として、貝類、黒ゴマなどの黒い食品、山いもなどねばねばした食べ物などを意識して摂るとよいです。

 更年期は誰にでも訪れます。心身ともにバランスよく健康が保たれれば、障害は感じずに過ごすことが出来ます。補腎薬でいつまでも若々しい潤いを。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2005.09.01