耳鳴り

 子宝相談でお子さんを授かり、お元気で過ごされていると思っていたお母様が十余年ぶりでいらっしゃいました。2年前から耳鳴りが強くなり、さらには頭頂部がザワザワと居ても立ってもいられず受診。漢方が処方され飲んでみたが改善せず、検査をしても原因が判らずに心療内科に廻され薬を飲み続けていらっしゃるとのこと。

 生理前が特に気になり、生理後は1日おきに感じている症状は薬を服用しても変わらない、また頭のピリピリ感と髪を引っ張られている感じは、薬の効力がある時間だけで一定時間が来ると辛くなるので、また飲まなくちゃと時計を気にしながら生活している状態だということです。

 「腎は耳に通じる」「腎は精を蔵す。精は髄を生じ、脳は髄の海」と、漢方独特の考え方で、体力の消耗や老化による腎精不足から脳が空虚になり耳鳴りを引き起こすと言えます。何らかのストレスがかかったり、2人の子育てが知らず知らずのうちに体力を消耗し、耳鳴りを感じるようになったと思われますが、対処法で一時的に神経を遮断しても辛さは変わりません。

 この方にはエネルギー強化と脳の鎮静や痙攣を鎮める2種類の漢方薬を飲んでいただきました。10日後、薬を飲む時間を忘れるほど髪を引っ張られる感じがない、耳鳴りも以前の半分に減ったとのことでした。20日目には引っ張り感はすっかり改善し症状があったのを忘れているほどでした。耳鳴りも相当楽で、心療内科で薬を減らしてくださるそうです。手帳にびっしり不調のマークがあった1か月前がウソのように快調になり、早く相談すれば良かったと喜んでいらっしゃいました。

 西洋医学では異常がなくても、漢方の考え方に当てはめると、理にかなった原因が見える場合があります。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2013.01.28