疲れがとれない

 風薫るさわやかな季節、体を動かすのには最も気持がいいはずなのに、何となくだるい、疲れている、特に午前中はボーッとしてなかなか エンジンがかからない、などの倦怠感を訴える方。また、4月から進学、入社など、新しい環境に早く慣れようと肩に力が入り、緊張した生活が続き、ようやく慣れてきたこの時期に疲労感、食欲がわかない、朝起きられない、といった症状の現れる方が多くなります。

 中医学では”気”という目に見えない生体エネルギーが不足すると機能が低下し、体力、胃腸の働きが衰えると考えます。体力が充実し、胃腸も丈夫であれば、元気に活動することができます。このような症状が見られる方には”気”を補う漢方薬を服用していただきます。

 40代の男性は、緊張を強いられた仕事を続けていくうちに食欲が落ち、元気がなく、腹部の膨満感や軟便が続いていました。検査では異常が見つからず、でも調子が悪いと訴えていました。 舌を見ると歯型がついており、舌の苔(こけ)も黄色っぽく厚くなっていました。気が不足し、胃腸に負担がかかっているようです。

この方は
  • エネルギー(気)を増やしながら気の巡りをよくする
  • 胃腸の働きを補う

 
 働きのある漢方薬を服用。1ヵ月後、食欲が出てきて軟便も快便に戻りつつあると話しておられました。

 人は緊張状態が続くと、気の巡りが悪くなり、自律神経が失調し、さまざまな症状を訴えます。検査では異常が見つからなくても「どこか調子が悪い」という場合、どうやって体の不調を治していけばいいか迷ってしまいますが、そんなときに効果を発揮するのが「漢方」の知恵なのです。また、舌は健康のバロメーターです。”慢性疲労症候群”にならないよう、 早めに正気を取り戻しましょう。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2005.05.07