多嚢胞性卵巣症候群、漢方で自然妊娠

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵障害の一つで、卵巣はある程度育つのに全て未熟で、成熟できる卵胞がないために排卵できないという病気です。発症のメカニズムははっきりしませんが、ストレス、エネルギー不足、栄養不足又は栄養過多、生活環境の変化などさまざまな原因が考えられます。

男性ホルモンの分泌異常を伴う場合は、肥満気味、毛深いといった外見的な特徴が現れることもありますが、現在、多嚢胞性卵巣症候群で排卵障害を繰り返しているかたの多くは、それには限らないようです。

中医学には、多嚢胞性卵巣症候群の概念はないのですが、気血や水分の代謝異常ととらえます。水分代謝をつかさどる気が不足して、体に余分な水分(水湿、痰湿)が滞っている、血の巡りが悪くなっている、といったことが考えられます。

31歳の方です。20代から月経不順でした。過酷な勤務体制を続けていくうちに、疲れが溜まり、体重も減少して、排卵していなかったようです。月経がきたりこなかったりで受診したところ多嚢胞性卵巣症候群の診断でした。更に子宮頸部異形成も見つかりました。明らかに気虚、免疫機能の低下です。ご結婚されて、将来は子宝も望まれています

先ずは子宮頸部異形成を正常な細胞形成に戻すこと、多嚢胞性卵巣症候群にも効果が期待できる漢方を飲んでいただきました。

基礎体温表で確認をしたところ排卵されている様子です。高温期があり、54日で次の月経が来ました。次の周期も同じような間隔で、排卵、高温期、月経となり、ご本人も基礎体温表で経過を見守りながら、多嚢胞性卵巣症候群が改善されていることにほっとしていました。

さらに、子宮頸部異形成の経過も6ヶ月ごとの検診で高度から軽度に下がり、良好でした。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と子宮頸部異形成の体質改善で漢方薬を飲み始めて1年経過。今回の周期は排卵がゆっくりでした。が、お見事、妊娠されました。良かったですね。これからも漢方と共に授かった喜びを育んでくんいただきたいです。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2022.11.04