掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)①

 「水虫かと思い、病院で検査したが、白癬(はくせん)菌はなかった。ステロイド軟膏や、処方された薬を内服しているが、変化がない」よくあるご相談です。これは、掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症といって、手のひらや足の裏に生じる無菌性の小水疱または膿疱で、季節にかかわらず、改善したり、悪化したりを繰り返します。小さな水疱が破れてはがれ、悪化すると、次第に膿疱に変わり、角質が肥厚し、黄色様角質層が点在します。

 西洋医学でみる病因はさまざまで、原因不明、ほかの皮膚病と間違いやすい、難病の一種と見るようですが、中医学では、水疱は湿、膿疱は熱毒に分けて考えます。 抗菌、消炎の働きがある漢方薬を外用方法で湿布した後で、漢方薬の軟膏を塗ります。こまめに治療していただくと、1、2ヵ月で肥厚した角質がはがれ、きれいな皮膚によみがえります。

 掌蹠膿疱症は、足や手のほかに、脛(すね)や膝(ひざ)にも発症することがあります。出始めにかゆみ、水疱、次第に膿疱に変化します。湿や熱毒が幅広く点在している場合など、症状によっては漢方薬を飲むことで体質改善の効果が期待できます。

 水虫に対する効果でよく知られた漢方の外用処方(塗り薬)がありますが、水虫以外にもかゆみをやわらげたり肥厚した角質層をはがす効果があります。 最近ご相談に見えた方は、ずいぶん悪化していた状態でしたが、みるみる新しい皮膚が再生され、喜んでおられます。

掌蹠膿疱症①
■初診時、足裏の掌蹠膿疱症(写真左)
■2ヵ月後、漢方薬の効果が見られ、ほぼ正常な皮膚に改善されました。(写真右)

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2007.08.07