アトピー性皮膚炎③

 アトピー性皮膚炎の人にとって、ステロイドの離脱はとても勇気がいります。長期間ステロイドを使用していて急にやめると、リバウンドが激しいケースが多く、 つらい思いをしたという人が少なくありません。つらいので再び使用を繰り返し一生付き合っていかなければならないのかと悩みます。

 顔は全体に赤く、特に髪の生え際は、粉が付いたような乾燥感、または掻いてジクジク、首の周りから腹にかけては熱を持っています。 首の後ろは掻いた傷跡が何か所も見えます。ひじも内側の中心から周りが赤く腫れ、掻き傷だらけです。手首、手の甲も腫れ上がり、部分的にジクジクとした水疱が見えます。赤くただれ、かゆみや炎症を抑えるためにステロイド剤を使い、 一時的には落ち着きますが、また掻いてしまうと表皮が崩れ、皮膚はさらに複雑化し、ステロイド皮膚炎という厄介な状態になってしまいます。

 このような皮膚を中医学では「湿熱タイプ」と見ます。水分代謝を良くし、熱を外に出す漢方薬を使うことで、かゆみや赤みは楽になります。外用方法も皮膚の状態によって、湿布やクリームを使って、良い肌づくりを目指します。10代の方は1か月ほどリバウンドがありましたが、ステロイドの離脱ができ、掻き崩した跡もきれいに修復できました。また、20代の女性も、赤く乾燥した皮膚の熱が取れ、リバウンドせずにかゆみが改善しています。

 店頭のご相談では、夏に向かって、汗や紫外線によるトラブルから皮膚を守る方法をお話ししています。アトピー性皮膚炎は漢方薬でも決して短期間で解消するわけではありません。ただ、明らかに皮膚の質は変わり、体調がよくなっていきます。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2009.06.07