尋常性乾癬

40代の男性です。25年前からの発症、当初は紅斑がポツポツと現れ始め、ステロイド治療他、言いと言われる事をやり、一見良くなったかのように思えたが、ステロイドをやめると以前よりさらに悪化し、その繰り返しで今に至っていると話されました。頭の生え際、頬、腹背中、手足など、ほぼ全身に境界鮮明な紅斑と、その表面には銀白色の鱗屑が厚く、アウスピッツ現象が見られます。今年の春からは今までにない程の全身症状でご相談にみえました。

尋常性乾癬は皮膚病の中で最も難治と言われている程で、再発しやすく、遺伝性や、レンサ球菌による上気道感染歴などの原因が考えられる場合があります。冬に増悪しやすく、全身に及びます。
進行期は、新しい皮疹が絶えず発症し、病巣が拡大、紅斑が著明で鱗屑が厚いのが特徴です。静止期は、新しい皮疹が見られなくなり、病巣は減退していきます。退行期になると、病巣は縮み、色素減退、脱色素斑あるいは色素沈着が残ります。

漢方薬を飲み始めて1ヵ月、皮膚表面の角質が剥がれ、小さな紅斑の集まりがくっついて大きな紅斑となり、より鮮明になりました。この状態が漢方薬を飲み始めて最初の変化です。漢方薬を飲み始めると、真皮の毛細血管に働いて炎症を鎮めようと血管に変化が起こります。表皮角質は落屑に向かいますので、一時的に鮮明な紅斑が現れる様に見えるのです。

2ヵ月、3ヵ月ごろから赤みが減り、色素沈着に変わり始めている箇所が増えてきました。顔の所々にあった紅斑は消え、全体的に赤みが薄くなり、小さくなっています。写真はご相談初回と3ヵ月経った頃の変化です。漢方薬の効果もありますが、それ以上にご本人の食生活を見直し、朝はご飯を食べ、日中の缶コーヒーの本数を減らし、夜は大好きな香辛料をやめていただいた努力も良好に繋がったと思います。4ヶ月経った頃には背中の大きな紅斑は消失しました。

その後、漢方の量を減らしてしまい、一時後退してしまいました。今又、努力を続けていますので、今年の夏は素肌を出して過ごせる日が来ると、期待しています。

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日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2017.02.20