黄体期(月経前)に気持ちが不安定になり、怒ったりイライラしたり感情のコントロールが出来ないと訴えるAさん。仕事上の ストレスを帰宅後まで引きずってしまうそうです。結婚5年になるのでと、子宝相談にお見えになりました。基礎体温表は低温期が高めで、高温期が不安定な状態を繰り返しています。ご主人は毎日深夜帰宅になるほど忙しく、疲れきっていて、子作りにプレッシャーを感じているとのこと。
中医学では、黄体期に気持ちが不安定になりやすいのは肝の調節機能がうまくいっていない状態と考えられます。肝とは血を貯蔵する臓器で、体のエネルギーである全身の気のめぐりを調節して、消化機能を助たり、精神情緒を安定させる役割を持っています。気は、めぐりが滞ると、体に余分な熱を生み出してしまいます。体の中の余分な熱は、部屋の熱気と同じように、上のほうに昇りやすい特徴があります。そのため、イライラ、怒りっぽい、のぼせ、ほてり、頭痛、めまいなどの症状が出やすくなるのです。
この方は「夫にも漢方薬を飲んでもらい、子作りに励みたい」と意気込んでいました。妊娠しやすい体づくりを目指して、この方の体質に合わせた周期調節法で漢方薬を飲んでいただきました。1ヵ月後のカウンセリングでは、タイミングが分からない。でも疲れ方が違い、気持ちがとても楽になった。気になっていた下腹痛がなかった。ご主人も漢方薬が効いている様子…などと話されました。今まで気にしていなかった排卵期のおりものが見えているようなので、タイミングの話をし、様子を見ることにしました。
その20日後、妊娠したとの連絡がありました。39歳で初めての妊娠です。現在は食べづわりとのことで、食生活には特に気をつかって、お元気に過ごされています。
日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり