産後の無月経と妊娠

 2歳のかわいいお子さんを連れたお母様。お産後2年になるが、自然な月経が来ないことで悩まれていました。2人目の妊娠も望まれ、婦人科での治療を半年ほど行いましたが、月経を起こさせるホルモン注射をしても反応がなかったこともあった、といいます。

 この方は、産後7カ月で職場復帰され、子育てと仕事を両立されて頑張っていらっしゃいます。夜勤も多く、とても疲れているようでした。中医学では、このような場合、生殖能力をつかさどる腎のエネルギーが弱い、と考えます。卵胞が育たないために、エストロゲン分泌の低下により、子宮内膜に『血海』が起こりません。補腎といって、腎の働きを充実させる漢方薬を使って、卵巣の働きを高め、ホルモンの状態を整える「婦宝当帰膠」と、「参茸補血丸」で、妊娠に不可欠な血を増やしながら、血の巡りをスムーズに、子宮内膜の環境を整えることを目標にしました。

 服用して5カ月目、再び西洋医学の治療法(排卵誘発剤)も併用したところ、その周期に妊娠されました。「土壌」である子宮内膜は柔らかく適度に温かいのが、「種」である卵にとって居心地の良い状態です。子宮が冷えていたり、内膜が薄かったり硬かったりすると着床が難しくなります。この方の場合は、漢方薬で「土壌」をしっかり整えたことにより、早く授かることが出来たのでしょう。

 今夏は酷暑が続くようです。冷房をかけなければ生活できないほどですが、 お腹を冷やさないように注意しましょう。

日本中医薬研究会会員 日本不妊カウンセリング学会会員 こだいら漢方堂 大塚みどり

2010.07.06